Svelte のエコシステムと先進的な使用法

Svelte のエコシステムは、Svelte 本体だけでなく、SvelteKit、Svelte Native、そして TypeScript との統合など、多岐にわたります。この章では、これらのツールや技術を使って Svelte アプリケーションをより高度に、より効率的に開発する方法について学びます。

1. SvelteKit の概要と使用法

SvelteKit は、Svelte のための次世代フレームワークであり、サーバーサイドレンダリング(SSR)や静的サイト生成(SSG)を簡単に実装できるように設計されています。また、ファイルベースのルーティング、API エンドポイントの作成、適応型ローディングなど、モダンなウェブ開発に必要な多くの機能を提供します。

実装例: SvelteKit を使用したブログサイト

  1. SvelteKit プロジェクトの初期化:
npm init svelte@next my-sveltekit-blog
cd my-sveltekit-blog
npm install
npm run dev
  1. ルーティングとページコンポーネントの作成:

プロジェクトのsrc/routesディレクトリに.svelteファイルを作成することで、自動的にルートが設定されます。例えば、src/routes/blog/index.svelteはブログの記事一覧ページになります。

  1. API エンドポイントの作成:

src/routes/apiディレクトリ内に.jsまたは.tsファイルを作成することで、API エンドポイントを簡単に追加できます。これにより、外部 API からのデータ取得や、フォームのサブミッションの処理などが可能になります。

2. SSR と SSG

SvelteKit を使用すると、SSR や SSG を簡単に実装できます。これにより、SEO 対策やパフォーマンスの向上、初回ロード時間の短縮が可能になります。

実装例: SSG を使用した静的サイトの生成

src/routes/about.svelteページを SSG でビルドする場合、SvelteKit のビルド設定を使って静的ファイルを生成します。

npm run build

ビルドコマンドを実行すると、aboutページの静的ファイルがbuildディレクトリに生成されます。

3. モバイルアプリ開発: Svelte Native

Svelte Native は、Svelte を使ってネイティブモバイルアプリケーションを開発するためのフレームワークです。これにより、Svelte の知識を活かして iOS や Android アプリを作成できます。

実装例: Svelte Native を使用したシンプルなアプリ

  1. Svelte Native プロジェクトの作成:
npx degit sveltejs/template svelte-native-app
cd svelte-native-app
npm install
  1. モバイルアプリの開発:

Svelte Native の文法を使用して、モバイルデバイスの UI コンポーネントを作成します。開発プロセスは、ウェブ開発に非常に似ていますが、出力はネイティブモバイルアプリケーションになります。

4. TypeScript との統合

Svelte は TypeScript との統合をサポートしており、より安全でメンテナンスしやすいコードの開発が可能になります。

実装例: Svelte と TypeScript を使用したコンポーネント

Svelte コンポーネントで TypeScript を使用するには、スクリプトタグにlang="ts"属性を追加します。

<script lang="ts">
  let name: string = 'Svelte';
</script>

<h1>Hello {name}!</h1>